皆さんこんにちは!ライターの岸田です。
目標に向かってがんばる阪大生にインタビューするこちらのコーナー。今回私がインタビューしたのは、「日本における日本語教育をよくしたい!」という思いのもと、積極的に活動している米森佐和さんです!
彼女が日本語教育に目覚めたきっかけは、大学の「サークル」と「専修」にあったんだとか。大学の環境を最大限に生かし、自分なりの課題感と向き合う彼女の魅力は、なんといっても目標に向かう行動力。同じ大阪大学の中に、大きな課題に挑戦している人がいるというのは、とっても刺激になりますね!彼女の目標と、今現在されている活動について、たっぷりお話を伺ってきました。それではさっそく内容に入っていきましょう!
米森さんのプロフィール
大阪大学文学部 日本語学専修3年生。日本に住む日本語を母語としない人に対する日本語教育問題に関心を持ち、大学の専修やサークルで精力的に活動中。

日本人である米森さんが「日本語」を学ぶワケ
―どんな目標に向かって活動されているんですか?
目標は、日本国内の日本語教育の改善です。特に、外国人労働者の妻やこどもの生活支援を含めた、日本語教育のサポートを充実させたいと思っています。日本に住む外国人の中には、自分の意志ではなく父親(もしくは夫)が日本で働くため、日本に来ざるを得ない人が多いです。しかし、日本の社会に慣れることができず問題を抱えていることが多々あり、そのような方のサポートをしたいと思っています。
―この目標を持ったきっかけと時期を教えてください。
この目標を明確に持ち始めたのは最近です。具体的には2年生の夏ぐらい。目標を持ったきっかけは、専修である日本語学と国際協力サークルのSFTです。高校生の時から、「無意識に使われている日本語が、なぜそのように使われているのか」ということに興味がありました。そして、大学生になり、SFTというサークルに入ったことで、日本語と国際協力を掛け合わせたら、日本語教育になるのではと思い至ったんです。そして、日本における、外国人向けの日本語教育について授業や本で学んでいくうちに、日本社会に放り込まれ、取り残された人たちの存在に気づき、日本語教育をよくしたいと思うようになりました!!
SFTについても教えていただきました!「SFTって?」はこちら⇓
意外と知られていない「日本語教育」の必要性と課題
―日本語教育とは何ですか?
日本語教育は、文字通り日本語を母語としない人に日本語を教えることです。といっても、日本語が喋れたらいいというわけではなく、専門性がある分野です。例えば、学習者から「教室に勉強します。」と言われたとします。母語話者ならすぐに間違いに気づくことができますよね?「机の上に本があります。」こちらはどうでしょう。正しいですよね。でもどちらも「場所」を表している点では共通しているため、「に」と「で」の使い分けはすごく難しいとされています。どのような場合に「に」を使い、どのような場合に「を」を使うのか。これは文法の専門知識がなければ教えることはできません。
また、日本語を得意としない方々と共存する方法として、「やさしい日本語」というものがあります。この”やさしい日本語”とは、阪神淡路大震災後に使われるようになった言葉で、日本語を母語としない人に対しての言葉です。「避難してください」ではなく、「走って!」「いそいで!」「あっちへ走って!」といった、日本語が堪能でない人にも伝わりやすい比較的簡単な日本語を指します。しかし、このやさしい日本語を知らない人が多いのが現状です。職場において、雇用する側が、やさしい日本語を知らない、使えないことが多々あります。外国人労働者の中には、コミュニケーションがうまく取れずに、人間関係の構築がうまくできない方もいます。
―現状の日本語教育の問題点は何ですか?
日本に来たにも関わらず、日本語教育のサポートを受けることができずに社会から取り残されている人がいることと、教育現場での日本語教師の不足です。
問題点①:日本語教育のサポートを受けられない外国人
生活に支障がでるほど日本語がわからないのに、日本語のサポートも受けれない、頼れる人もいない人がいます。また、日本語ができないために働くことができない方もいます。しかしお金は必要なため、水商売に行くしかない人がいるのが現状です。何とか働けていた人たちの中にも、つらくなり逃亡する人、残念ながら自殺してしまう人もいます。日本社会で、最低限の生活を送ってもらうためのサポートができたら、と思っています。
また、こどもは自分の意思とは関係なく日本で生活しているケースがほとんどです。現在、日本の公立学校に在籍している子どもたちの内、日本語教育を必要としている児童生徒は50,000人以上で、その内、約4分の1の子どもたちが、日本語がわからないにも関わらず、学校で何の支援も受けられていない「無支援状態」にあると言われています。また、20,000人近くの子ども達が不就学である可能性があることも明らかになっています。
日本語のサポートを受けられないにもかかわらず、日本で教育を受けざるを得ないので、教育を受ける権利がきちんと保障されているとは言えないのが現状です。
問題点②:日本語教育現場における問題
小中学校等の教育現場に、日本語教育の資格を持ち、常勤で働く人が少ないこともまた問題です。日本語教育をされている方のうち、常勤の講師はたった10%程しかいません。しかも、全体の6割をボランティアに頼っているため、教育の質もあまりいいものとは言えないです。
そして、ボランティアに頼らざるを得ない原因は、日本語教育自体がビジネスにしにくい分野であり、利益を出すことが難しいということにあります。やはり、仕事として成立させ、利益を生むことが、環境を整えることためには必要です。
米森さんが挑戦する“日本語パートナーズ”
―日本語パートナーズとは何ですか?
日本語パートナーズとは、独立行政法人国際交流基金の事業の一つで、主にアジアの中学・高校などの日本語教師や生徒のパートナーとして、授業のアシスタントや日本の文化紹介を行います。
私の今回の目的は、日本語の授業を楽しんで受けてもらうサポートをすることです。私は、次の7月から1月の7ヵ月間、インドネシアの高校で日本語パートナーズとして活動する予定です。インドネシアの学校では、第二外国語が必修であり、日本語を学んでいる学生もいるのですが、日本語を積極的に学びたいと思っている学生は少ないのです。その人たちに、日本って何となくいい国だよねって思ってもらえるようにサポートをしていきたいです!
―日本語パートナーズに参加しようと思った理由は何ですか?
日本語教育に興味があったことはもちろん、現地で長期間生活できるからです!長期滞在することで、地域の人と深くかかわり、本物の教育現場を見ることができるし、日本に来る外国人がどういう環境や考え方で日本に来るのか知ることができると思いました。また、このプログラムには日本語教師をやっている人が多く参加されており、そのような人たちと関われるのも理由の一つです。

―最後に、これから挑戦したいことを教えてください!
日本語ボランティア、日本語教育に関する勉強、日本語パートナーズの準備の3つです。日本語ボランティアは、自治体が日本語を学びたい方を対象に行っている日本語のサポート活動です。探すといろんな自治体で行われていて、参加してみたくなりました。また、日本語教育自体を見つけたこと自体が最近のことなので社会福祉なども勉強したいです。そして、7月から始まる日本語パート―ナーズの活動の準備を進めていきたいです!
おわりに
インタビューを快く受けてくださった、米森さんありがとうございました!私の知らないことが多く、大変勉強になりました!!
「もっと知りたい!」と思った方は、米森さんが日本語パートナーズの活動について書かれているブログをご覧ください⇓
日本語教育とは何か、その問題点など端的にまとめられていて、聞き手にわかりやすく伝わってきます! 私も日本語教育を軸に研究していこうと思っているので勉強になりました。
余談ですが、米森さんと去年一緒にインドネシア語の授業受けていたので今後の活動を応援していきたいです!
コメントありがとうございます!
日本語教育を研究の軸にしている方に読んでいただけて嬉しいです!
米森さんの今後の活動ぜひ一緒に応援しましょう!