こんにちは、ライターのNaokiです!
みなさん、いかがお過ごしですか?
新型コロナの影響で、「思い描いていた生活を送れていない!」という方々も多いのではないでしょうか?できることも限られている中、暇つぶしに読書をしたいけれど、どんな本を読めばよいか分からない、という方もいるかもしれません。
そんな皆さんに是非ともお薦めしたい本があります。
その名もずばり、『ドーナツを穴だけ残して食べる方法』です!
一度聞いただけでは何を言っているのか分かりにくいタイトルかと思いますが、その分興味をそそられるのではないでしょうか?
実はこの本、そのユニークなタイトルもさることながら、阪大生が企画・提案から編集、装丁、広報、販売まで、すべてのプロセスにかかわった本なのです!
では一体どういった内容の本なのでしょうか?
「学問とは?」「大学の研究者とは?」がわかる本
この本の内容を簡潔にいえば、「ドーナツを穴だけ残して食べるには?」というお題に対して、大阪大学の研究者たちが様々な角度から取り組んでいく、ということになります。「ドーナツの穴だけを残して食べる方法」という文章は一見すると矛盾しています。ドーナツを食べ終えた時点で穴は必ず無くなってしまう、というのが一般的な感覚に基づく「当たり前」な考え方です。ですが、大学の研究者はそれだけでは終わりません。その「当たり前」に対してあえて疑問を呈し、各専門分野における独自のアプローチによってその人なりの結論を導き出す、それが学問の研究者なのです。
この本では非常に多くのアプローチが出てきます。
まず、序論としてドーナツの穴に関するインターネット上での談義についての分析が示されています。
次に第1部では、「ドーナツを穴だけ残して食べるには?」というお題に対して、その解決方法を見出そうとする様々な分野の研究者のアプローチが紹介されています。ドーナツを「削る」ことでその穴を残す方法を探る工学者もいれば、「次元」というキーワードを駆使し、論理的思考を展開する数学者、さらにはドーナツの存在について美学の観点から考察していく文学者もいます。
第2部では、ドーナツの穴から学べることについて、様々な研究者が自分の専門性を生かして語っています。どうしてこんな矛盾したお題が考えられたのかについて分析する人類学者、ドーナツ型の化学物質の有益性について紹介している化学者、ドーナツ化現象を切り口に次世代型社会について語る経済学者、ドーナツ型製品に関する裁判を題材に法律家という存在について考察する法学者…など、そのアプローチは実に様々です。
私も読んでみましたが、より多くの読者が理解できるように工夫して書かれているので、気軽に読むことができます。あまりにも面白いので、私は何度も読み返してしまいましたが、それほどこの本には知的好奇心をくすぐる魅力があります。そして、読み終えたときには、「学問とは一体どういうものか?」「大学の研究者とはどんな考え方をするのか?」といった疑問に対して答えを得られているはずです。
皆さんも是非手に取って頂いて、奥深い学問の世界をのぞいてみてください!
<参考文献>
・『ドーナツを穴だけ残して食べる方法』(大阪大学ショセキカプロジェクト編、日経ビジネス人文庫)