NEO-TEKIJUKUでは、様々な活動をしている阪大生を紹介してきました。今回は、大学内外を問わず演劇・表現活動を行われている、森本綾乃さんにインタビューしました!
登壇者プロフィール

森本綾乃さん
大阪大学文学部 人文学科 演劇学専修3年生。喜多流能楽研究会所属。フリーで役者として活動している。広島県出身。
大学の内外を問わず表現活動を続ける森本さん。演劇との出会いや原爆劇に対する思い、現在の活動について語っていただきました!
「舞台に立ってみたい!」演劇との出会い
―演劇と出会ったのはいつですか?
森本さん:
中学2年生の時、劇団四季の『キャッツ』の公演を見に行ったことがきっかけで、舞台や演劇に興味を持ちました。初めて演劇を見て、「舞台に立ってみたい!」と思い、高校に入学してから演劇部に入りました。
小学校の時は小説を書いていたり、中学校では吹奏楽をしていたり、なにかを表現することは昔から好きだったんですけど、中でも演劇が自分に合っていると感じました。演劇って、演者だけでなく脚本家や演出家の方がいて、上演に至るまでにいろんな人と関わりながら、話し合いながら積み重ねて作っていくんです。そういう人との関わりのなかで作っていくところに面白さを感じます。
「原爆劇」への思い
―全国大会に出場するほどの強豪だったという高校の演劇部。具体的にどんな活動をされていたんでしょうか?
森本さん:
私の高校の演劇部は、50年近く毎年原爆劇をやっていて、コンクールでも原爆劇の発表をしました。「原爆孤児」の話を演じたことがあるのですが、演劇を作るにあたって施設を管理していた方のご遺族から話を聞いたり実際の場所に行ったりとフィールドワークをしたことも印象に残っています。
私は広島で生まれ育ってきて、小さいころから「平和への祈り」とか「戦争のない世界へ」といった言葉が当たり前のように身近にありました。高校生になって、戦争や原爆に関することを学ぶ、インプットするだけでなく、自分が演じる、アウトプットする経験をしたことで、平和教育や戦争を語り継ぐことについて改めて考えるようになりました。
戦争を実際に経験した人々の中で「戦争の記憶を継承しなければ」という思いが生まれて、被爆者の証言が集められ、多くの語りがされてきました。しかし、被爆者の高齢化が進んで戦争から時間を隔てた今、当事者でない私たちの平和に対する行動って、目的が消失した形だけのものになってしまうんじゃないかと思ったんです。今まで当たり前に受けていた平和教育も、本当に正しい形なのか、と考えるようになりました。だからこそ戦争や原爆に関する表現をすることにも難しさも感じて、今は原爆劇からは少し距離を置いています。
でも、いつかはもう一度原爆劇に向き合いたいと思っています。いつか今を生きている私たちからみた広島を描きたいですね。

現在の活動
―原爆劇からは距離を置いているとのことでしたが、現在はどのような活動をされていますか?
森本さん:
オーディションを受けて俳優として出演したり、知り合いから声をかけてもらって舞台に関わったりしています。また、能のサークルで着物を着ているうちに、個人的にも着るようになって、裏方として着物の着付けをしたこともあります。
―コロナ禍で活動は変わりましたか?
森本さん:
外出自粛要請が出ている時期に、ZOOMを使って演出家さんと1対1でやり取りをしながら、一人芝居をしました。「そもそも演劇ってなんだろう?」と考えさせられましたし、今までやってきた演劇と同じだと思ったらダメだと感じました。
それから出演予定が二つほど延期になりました。どこかに所属していれば団体としての方針に従えばいいのですが、フリーでやっていると難しいところがありますね。
―どこかに所属せず、フリーでやっている理由はありますか?
森本さん:
最初に大阪に来て参加した公演が、毎回人を集めて解散する形をとっていました。半年間演出助手として参加してて、舞台が終わって「あ、解散するんだった...」という感じでしたね。(笑)でも、フリーだからこそ身軽にいろんな人と関われたり、現場に行けたりしてそこはメリットかなと思います。
ー今の目標はなんですか?
森本さん:
今の自分の中でのテーマは「役者に本気で向き合う」ということです。延期になってしまったんですけど、5月に予定していた公演のオーディションが、大阪に来て初めて受かったオーディションでした。その公演の稽古に参加している中で、他の演者さんから刺激を受けて、演出や脚本ももちろん興味があるんですけど、今は役者としてがんばりたいと思っています。今は12月に出演する舞台に向けて稽古に励んでいます!
前編では、森本さんのこれまでの活動と原爆劇への思い、現在についてお話いただきました!後編では阪大での活動についてと、森本さんの今後を語っていただきます!
森本さん出演の舞台情報はこちら
猟奇的ピンク第五回公演『キネマの憂鬱』
脚本・演出・企画:鶴山聖
[日程]12月5日-6日
[場所]ウィングフィールド(心斎橋)
《料金》
特典付予約チケット:3,000円
https://t.livepocket.jp/t/g-b9m
特典付アーカイブ配信チケット:2,000円
https://t.co/8Q4lv6iWq6
※公演終了後から一週間限定でいつでも繰り返し視聴頂けます。
※各チケットにはsuisui百鬼朱紀による3000字レビューを収録したオリジナルパンフレットデータ特典付! https://t.co/2nzoocf6ra
