文系学生の中でも、就職活動でメーカーを志望している人は多いのではないでしょうか。
CMでお馴染みの自動車メーカーや食品メーカー、憧れますよね。
しかしそれ以外にも、あまり知られていないだけで素晴らしいメーカーが日本には数多くあります。
今回はそんな「花形ではないものの優良企業が多い」、BtoBメーカーの魅力をお伝えします。
Contents
1.そもそもBtoBメーカーとは?
業態を区分する用語として、BtoCとBtoBがあります。
BtoCはBusiness to Customerの略で一般消費者向けビジネスのこと。食品、日用品、自動車、電気機器など様々なサービスや製品を消費者に提供している企業のことです。
一方BtoBはBusiness to Businessの略で、企業間の取引を指します。BtoB企業のお客さんは、企業。一般消費者に製品を売ることはないので、マスメディアでの宣伝はBtoC企業に比べると少なく、一般的な知名度は低いです。
ここでいうBtoBメーカーとは、企業向けに製品を作ったり、売ったりしている企業のことを指します。
BtoBメーカーの一例:
・鉄鋼メーカー(日本製鉄、JFEスチールなど)
・化学メーカー(三菱ケミカル、旭化成など)
・非鉄金属(三菱マテリアル、住友電気工業など)
・電子部品メーカー(京セラ、村田製作所など)
・自動車部品メーカー(デンソーなど)
・機械メーカー(小松製作所、クボタ、ダイキンなど)
・産業用ロボットメーカー(ファナック、安川電機など)
化学メーカーや部品メーカーのように、いわゆる「素材」や「部品」を扱う企業もあれば、機械メーカーや産業用ロボットメーカーのように、企業が使う「最終製品」を扱うメーカーもあります。
食品や自動車のような誰もがCMで見たことがあるようなBtoC企業はメーカーの中でも特に人気が高く、必然的に選考倍率も上がります。
しかしBtoBメーカーは知名度が低い分、意外と穴場だったりします。
次にBtoBメーカーのメリットについてお伝えします。
2.BtoBメーカーがおすすめな理由
①社会貢献度の高さ
日本のメーカーは、自動車や精密機械など、世界的似も有名な技術力の高い製品を輩出しています。そんな名だたる企業を支えているのがBtoBメーカーなのです。
例えば自動車メーカーを例に取ってみましょう。
自動車はエンジン、タイヤ、ボディーなど様々なパーツが組み合わさって出来ています。それらすべてを自動車メーカーで作っているのではなく、BtoBメーカーが部品や外装、内装などそれぞれの得意分野を担当し、組み合わせているのです。
つまりBtoBメーカーなくしては一台の自動車は完成しません。
BtoBメーカーのやりがいは、目に見えないところで自分たちが作ったものが社会の役に立っているということ。
「人の生活を豊かにしたい」「社会や人を支えたい」と考えている就活生にとって、自分達が供給したものによってモノが作られ、それが多くの人の生活を支えているというのは、非常に意義を感じるものではないでしょうか。
②ホワイト企業が多い
BtoBメーカーは、企業を顧客としているため、取引が長期的で安定的になります。
仕事に関しては、元々取引のある会社に対して営業をかける、いわゆる法人営業(ルート営業)というスタイルが多いです。
飛び込み営業のような、いわゆる新規開拓の営業は比較的少なく、営業に抵抗を感じている人でも、挑戦しやすいのではないでしょうか。
またBtoBメーカーは高度な技術力で他社との差別化を図っている会社が多いです。
そのため参入障壁が高く、他社との競争も少ないため、業績も安定的です。
経営が安定している分、福利厚生や給与に還元されるので、社員が働きやすい環境が整っていて、離職率も低いです。
③グローバルに活躍できる
東洋経済の「海外勤務者が多い会社トップ200ランキング」によると、3位デンソ―、14位ミネベアミツミ、16位矢崎総業、17位ヤマハ発動機、18位村田製作所,YKK、19位東レ、と上位20社のうち7社のBtoBメーカーがランクインしています。
ここで従業員数に占める海外勤務者の割合を見ると、1位トヨタ自動車は約3%、2位ソニーは約8%と、社員数が多いBtoCメーカーは、割合に関しては必然的に低くなります。
一方BtoBメーカーはというと、14位のミネベアミツミは約11%、18位YKKは約15%と、人数ではBtoCメーカーに劣るものの、海外勤務者の割合が高い企業もあります。
つまり海外駐在に行ける可能性がその分高いということです。
また海外売上高比率に着目すると、18位の村田製作所は92%、59位のTDKは91%のように売上のほとんどが海外という企業も存在します。
出典:海外勤務者が多い会社トップ200ランキング|就職四季報
これらのメーカーでは出張や駐在で海外に行ったり、日常的に海外拠点とやり取りをするため、外国語を使う場面も必然的に出てくるでしょう。
グローバルと聞くと、どうしても総合商社や銀行などを思い浮かべる人も多いかもしれませんが、BtoBメーカーにも海外と関わりながら活躍するチャンスが潜んでいます。
3.BtoBメーカーのデメリット
①チャレンジングさを求める人には物足りないかも
BtoBメーカーの営業スタイルは、主に法人営業です。会社の看板に守られているため仕事を進めやすい反面、どんどん新規開拓をするようなチャレンジングな仕事を求めている人には不向きかもしれません。
②知名度が低い
BtoBメーカーはCMやテレビでの宣伝が少ないため、世間一般的には知名度が低いです。
そのため「誰もが知っている有名企業に行きたい!」といった人には向いていないかもしれません。
③企業研究が大変
就職活動において欠かせない企業研究。
中には面接で、製品について最低限の知識があるかどうか確認するような質問をしてくる企業もあります。
また理系的な用語が多く、少々取っ付きにくく感じるかもしれません。
事業内容がある程度似ていると言われている金融業界などとは違って、それぞれのメーカーの立ち位置や製品を理解していくのは根気がいる作業です。
とはいえ、どの業界を受けるにしても企業研究は欠かせないので、あまり重く受け止める必要はないかもしれません。
4.優良BtoBメーカーの見つけ方
生活の身近なところにあるBtoCメーカーと違って、BtoBメーカーは業界の人しか知らない、いわゆるニッチ企業な場合も多いです。
優良企業であるにも関わらず、その存在に気づくことすら出来ないというのは非常にもったいないです。
そこで筆者が実践していたBtoBメーカーの見つけ方を紹介します。
①業界地図
一口にBtoBメーカーと言っても本当に多くの業界があります。
どんな業界があるか知るために、まずは業界地図を見てみましょう。
例えば「計測機器」や「非鉄金属」業界と聞いても、あまりピンとこない人も多いのではないのでしょうか。
業界地図を見ていると、そんなモノを扱っている業界があるんだ!という発見がたくさんあります。
中には「あの大企業がこの分野にも進出しているんだ」という意外な発見があり、志望業界の選択の幅が広がるかもしれません。
(例:日立製作所が水事業を行っている。パナソニックが家電などのBtoC事業だけでなく、BtoB事業も行っている。など)
②グローバルニッチトップ企業100選
グローバルニッチトップ企業100選は、経済産業省から選出された
”世界市場のニッチ分野で勝ち抜いている企業や、国際情勢の変化の中でサプライチェーン上の重要性を増している部素材等の事業を有する優良な企業”
のことです。
「機械・加工部門(61社)」「素材・化学部門(24社)」「電気・電子部門(20社)」など、様々な分野のBtoBメーカーがランクインしています。
このランキングには、大企業だけでなく中小企業も入っているため、会社の規模に関わらず世界市場において高い競争力を持つ企業を探すことが出来ます。
気になった企業を就職四季報と照らし合わせて見てみると、自分の条件に合う企業に出会えるかもしれません。
5.おわりに
ここまでBtoBメーカーについてお伝えしてきました。
「社会貢献性が高くて、ホワイトでグローバル」だなんて、一見地味に見えて、実はかなりすごい会社が多いことがお分かりいただけたでしょうか?
就活はファーストキャリアを決めるもの。人によっては一生働く会社になるかもしれません。
その大事な選択を、なんとなくの「イメージ」や「ネームバリュー」だけでしないで欲しいのです。
まだ志望業界が固まっていないこの時期だからこそ、様々な業界を知ってくださいね。
皆さんの選択肢の一つにBtoBメーカーが増えるとうれしいです。