文系学生のみなさんに質問です!!
システムエンジニア(SE)として働いている自分の姿を想像したことはありますか!?!?
文系にとってのSEはお蕎麦にトマトソースをぶちかけるレベルで馴染みのない縁遠い仕事だと思っていませんか?
実は、阪大の文系から新卒でSEとして働き始める人はたくさんいるのです!
「パソコンを分解して組み立て直したことないんですけど大丈夫ですか…?」
なんて不安は無用です。
むしろ、IT業界が変化していく中で、SEにも高いコミュニケーション能力が求められるようになり、文系学生を積極的にSEとして採用していく企業も増えている傾向にあります。
筆者の周りでも、法学部・経済学部・外国語学部などのプログラミング未経験の阪大生が新卒でSEとして就職するケースが両手で数え切れないほどあります。
今回は、ライターの若尾がIT業界の先頭を走るスミセイ情報システム株式会社の採用担当・早川さんにインタビューさせていただき、IT業界のこれからやSEという仕事について詳しくお話を伺ってきました!
IT業界について詳しく知れば、SEは意外とあなたに合った仕事だと判明するかもしれません。
【スミセイ情報システム株式会社の採用担当・早川さんにインタビュー!】
若尾:
最近は社会のソフトウェア化が進んでいますね。IoTやDX化といったキーワードも頻繁に耳にするようになりました。スミセイ情報システムさんはその流れの第一線にいらっしゃる企業の1つだと思いますが、変化の実感はありますか?
早川さん:
はい、SEに求められる力も変わってきているなと感じます。
これまではIT技術を駆使してシステム化できればよいということもありましたが、最近はDXの流れもあり「IT技術」+「ビジネスの視点」を持つことが必要です。お客様のビジネスそのものをお客様以上に理解し、牽引することがSEに求められています。
若尾:
なるほど。ただお客様の要望を叶えるだけでなく、「もっとより良くするためにはどうしたらよいか」という議論にSE側も参画していかなければならなくなったということでしょうか。
早川:
そうですね。SE側の提案の質により重きが置かれるようになってきました。IT技術もビジネスも変化の激しい時代なので、よりよい提案ができるよう自分たち自身も常にアップデートし続けていく必要があります。スキルアップは大変な部分でもあり、やりがいを感じる部分でもありますね。
若尾:
お客様の要望ありきから、プラスαの価値提供が求められるようになっていく中で、個々のSEに求められる能力は何でしょうか?
早川:
SEに求められる重要な素養の1つに「新しい技術への興味関心」があります。
技術って、数年周期のものすごいスピードで進化し続けていくんですね。なのでSEは常にキャッチアップが必要です。
興味のあることを学ぶのって楽しくありませんか?もちろん論理性など他の素養も大切ではあるのですが、やはり何よりIT技術に興味関心を持てるかどうかが大切なポイントですね。
若尾:
採用担当の仕事を長くされていると伺いましたが、学生たちのどういったところから見分けていらっしゃいますか?
早川さん:
実は、ITの専門知識やプログラミング等の知識や経験は重要視していません。学生のうちから「ビジネスに直結するシステムの開発をやってました!」なんて人はほとんどいないので、それよりも考える力や行動特性など全体的な部分を見ています。
若尾:
なるほど、そうすると、文系・理系は関係なさそうですね。
早川:
そのとおりです。私自身も実は文系出身で、採用担当をする前はSEをやっていました。
私も研修の最初のころは「やってけるかな」という不安はありましたが、実際に働き始めて数年が経ったころには「誰が文系で誰が理系だったっけ??」という感じでした(笑)理系といっても情報系以外にもいろいろありますもんね。
もう1つ言うと、SEにとって大切なのは、お客様が本当に作りたいものを見つけ出す能力です。
すごい技術力のあるスーパーエンジニアでも、作ったものがお客様の要望を汲み取れていなければ、それはもう「要らないもの」なんですよね。
若尾:
コミュニケーション能力ですね。
早川:
その通りです。
コミュニケーションを通してお客様の本当に欲しがっているものを引き出すことが実は一番大切なんですよね。ここがSEの腕の見せ所と言われています。「システムを作る」ことも大切ですが「何をつくるか」を考えることが大切です。そういう点でコミュニケーション能力が活きる部分も多いと思います。
若尾:
このインタビューを見てSEに興味を持つ学生も出てくると思うので、もう少し深掘っていけたらと思います。
早川さん自身もSEをされていたと伺いました。研修や業務の中で、SEとしての上達が速い人、遅い人の違いはありましたか?
早川:
どれだけ勉強を積んでも、経験が浅い時は分からないことの方が多いんですよね。そういうときに「ここ分からないので教えてください!」ってすぐに言える人のほうが歩みが速かったように思います。リモートワークも増えるのでこれまで以上に密な「報連相」が求められますね。
若尾:
なるほど。わからないことを訊くのって勇気が要りますよね…
早川:
そこは会社内の空気づくりを大切にしていて、「わからないことは気軽に教え合うのが当たり前」という雰囲気が根付いています。特にシステム開発はチームで行う仕事なので、チームのマネージャーたちは、何でもすぐに言ってもらえるような信頼関係づくりを大切にしています。
若尾:
どんなときにやりがいや意義を感じますか?
早川:
大きくやりがいを感じられる部分は2つあります。
1つは、自分が作ったシステムが問題なく動くことが一番やりがいを感じられる瞬間なのかなと思います。
もちろん納品前の動作確認のときにも「動いた!」ってなるんですけど、それを使ってくださるお客様がいるんですよね。自分たちが作ったものによって、お客様が「仕事がやりやすくなりました!」と言ってくれたりしたときは強くやりがいを感じました。
もう1つは、成長を感じやすいことですね。
システム開発ってわからないことが結構多くて、いまの自分の技術や知識ではできないという場面がたくさんあります。でも、人に聞いたり、自分で調べたり考えたりして、「以前はめちゃくちゃ時間がかかった開発が、次にやったときにはすぐに作れるようになった」ということがあると、非常に成長を感じます。
若尾:
たしかに、システム開発って「できる・できない」とか「どれだけ工数がかかったか」が定量的で明白ですよね。
早川:
その分、可視化されて成長を感じやすいですね。
若尾:
IT化の社会的な意義については社内ではどのような議論がされていますか?業務の効率化などのプラスの面と、単純労働の駆逐など、雇用を奪うというマイナス面、功罪両面が指摘されます。
早川:
少子高齢化の中で、働き手が減ってきています。働き手が減っていく中でも、企業や行政のサービスや生産活動の質を担保し、人々の生活を守っていかなければなりません。その課題を解決していくのが、「ソフトウェア化やDX化」だと思っています。
若尾:
なるほど。人が減っていく中でも社会に必要なサービスやインフラを確保していくのは大切なことですね。
社会のインフラと言えば、みずほ銀行のシステムダウンが大きなニュースになりました。
早川:
関連する書籍や原因調査報告書などを読みましたが、いろんな要因があってのことだと思います。金融システムは社会インフラといっても過言ではありません。
大きな金融系のシステムという点では弊社も同じなので、正直「明日は我が身」と、他人事ではないなと思いながら眺めていました。
若尾:
同じ業界の問題としてしっかり目を通していらっしゃるんですね。消費者としても「うちは大丈夫」ってあぐらをかいている会社よりは、「明日は我が身」と思ってきちんと備えている会社のほうが健全で信頼できるなと感じます。
また、今回のインタビューではお聞きできなかったIT業界やSEについてのもっと詳しい話を、11/10(水)に開催したイベントで早川さんに直接お訊きしてきました!(11/29追記)
以下、参加学生の質問と早川さんのご回答の内容をわかりやすく3点にまとめました!
①情報通信業界の市場規模がとんでもないことになっている!!
今年度のIT業界全体の市場規模は総額108兆円だそうです!これは全業界一位、日本全体の市場規模の10%にあたります。医療業界の市場規模70兆円を考えると、とてつもない規模であることがわかります。
さらに、前年の市場規模99兆円から、10兆円近く成長しているので、事業規模の伸び方もえげつないことがわかります。
就職の際に大切な指標となるのが、その事業領域が成長産業であるかどうかです。成長産業の事業はそうでない業界に比べて業績が伸びやすいため、個人の給料や実績も高まりやすい傾向にあります。
そういう観点では、特に業界にこだわりがない人にはIT業界はうってつけかもしれません。
②研修が手厚い!!
システム開発未経験者を多く採用されているそうです。そもそも、学生のときからビジネス向けのシステム開発をやった経験のある人なんてほとんどいませんよね。なので、なので、未経験者でも十分にスキルを身に付けられる環境を提供するスタンスで採用活動を行っていらっしゃいます。5年目に一人前のSEになれる前提で採用・研修を行っているので、ITへの興味関心と成長意欲があれば、一人前のシステムエンジニアになることができます。
さらに、IT業界は技術の進歩が非常に速いため、頭が柔らかく学ぶ力が高い若い人ほど活躍しやすい分野です。その点、他業種に比べて若手が活躍しやすいと言えるかもしれません!
③社会のソフトウェア化はますます進む
近年はさまざまな分野でIT化・ソフトウェア化が進んでいます。
例として挙げられていたのはFinTechの分野です。
FinTechとは、Finance(金融)とTechnologyの掛け合わせでつくられた言葉です。FinTechというワードの流行は、金融や決済などお金のやり取りに絡む場面をITを活用することで効率化していこうという潮流を如実にあらわしていますね。
経済産業省も『キャッスレス・ビジョン』を打ち出し、キャッシュレスの推進とFinTechの後押しを表明しています。決済や金融を含め、社会のあらゆる場面がアルゴリズムで動く社会になってくれば、ますますITの理解や技術を持つ人たちが重宝されるようになってきますね。そうした社会の潮流も考えると、ファーストキャリアとしてのシステムエンジニアは非常にスマートな選択かもしれません。
ということで、IT化の最前線にいるスミセイ情報システムで採用担当をされている早川さんに、インタビューとイベントの中で業界やSEとしての仕事のあれこれについてお聞きしてきました!
社会のますます多くの部分がソフトウェアに置き換わっていく中で、どんな業界でもITは切っても切り離せないものになってきています。ITについての理解やスキルを持っていることは間違いなく大きな武器になっていくなあ、とインタビューを通じて強く感じました。
「IT系って理系の仕事でしょ…??」
「ややこしいコードを日がな一日カタカタ打つのはなあ…」
という偏見はいったんかなぐり捨てて、業界についてちょっと調べてみようと思うきっかけになれば嬉しいです。