こんにちは!
ライターのNaokiです!
理系の皆さんの中で、「大学院進学」を考えている方はいるでしょうか?
なんとなく「理系は修士までいってから就職するもの」というイメージを持っている人も多い気がします。
現在、理系の学部1~3年生の中には、「とりあえず大学院に進学しよう」と思っている方もいるのではないかと思います(実は自分もそうでした…笑)。
ただ、「なんとなく大学院進学」という気持ちで何も準備をしていないと、そもそも入るのに苦労したり、いざ大学院に行ったときに十分な学びを得られなかったりします。
また、人によっては大学院とは別の進路が合っているのに、進学して時間を浪費してしまう…といったことにもつながりかねません。
ということで、今日は大学院進学を考えている理系学部生の方に、知っておいてほしいことをお伝えしたいと思います!
Contents
大学院進学のメリット
まずは、「そもそも大学院に行く意味って?」という根本的なところからお伝えしたいと思います!
基本的に、大学院に進学して行うことというのは、
「所属分野のより専門的な講義を受ける」「現在、自分が関わっている研究を継続する」の二つです。
(ただし、進学に伴い分野や研究室を変える場合は必ずしもこの限りではありませんが)
大学院進学をするメリットとして、以下が挙げられます。
関わっている分野・研究を深められる
当たりといえばそうなのですが、「関わっている分野・研究を深められる」という点が1つ挙げられます。
学部生では、研究室に所属する期間がそれほど長くなく、技術を学ぶ方に時間を取られて自分の研究にしっかりと打ち込めない、というパターンが意外とあります。
とはいえ、「今学んでいる分野のより知識を深めたい!」「現在行っている研究を納得のいくレベルまで進めたい!」「研究の成果を論文などの形にしたい!」という人は多いと思います。
そういう方には、ぜひ大学院進学をして、上で述べた思いを原動力に学業や研究に取り組んで頂きたいです!
就職活動で求められる力が付く
研究活動で得られることは専門知識以外にも多々あり、後の就職活動において有利に働くこともあります!
代表的なものが、「PDCAサイクルを回す力」です。
PDCAとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(測定・評価)、Action(対策・改善)の頭文字をとったものです。
ビジネスで多用される考え方で、選考の際に多くの企業が重視する能力の1つです。
実は、これは研究の一連の流れと非常に似ています。
研究の基本的な流れは、
「課題設定→解決のための実験計画作成→実験の実施→結果の検証→計画や実験手法の改善」であり、まさにPDCAサイクルそのものです。
こういった事情もあり、理系院生は「PDCAサイクルを回す能力が高い」人材として見られる傾向があり、時にアドバンテージにもなります。
研究・開発職になりやすい
もう一点、就職に関してのメリットとして、「研究・開発職になりやすい」ということがあります。
理系学生なら一度は考える研究・開発職ですが、専門性も高いこれらの職種は、やはり修士号取得者以上者が有利な場合が多いです。
そもそも企業側が「研究・開発職に関しては、学部生には募集をかけていない」というケースも多々あります。学部生では、能力・知識・技術レベルが圧倒的低いからです。
ちなみにですが、研究・開発職に求められる知識・技術というのは学生が思っているよりも断然高く、修士レベルでも企業の水準には程遠いケースも多いです。
「自分の専門を直接的に生かしたい!」と思って研究職を志望する人も多いですが、生かせるとは限らないということは予め頭に入れておいた方が良いでしょう。
進路を模索する時間が得られる
こちらは少し消極的な理由にはなりますが、
「進路を考える時間を確保するために大学院進学をする」という考え方もあります。
中には、「自分のやりたいことが学部4年間では定まりそうにない、、、」と感じている人もいると思います。
そういう方は無理に進路を定めず、大学院進学によって将来を考える時間を確保した方がいい場合もあります。
進路を早い時期から考えておくことは重要ですが、必ずしも全員が同じペースで進路を決めれるとは限りません。
むしろ、バラバラなのが自然だと思います。
進路の模索は社会人になってからでもできないことはないですが、時間は圧倒的に学生の方が作りやすいですし、学生の時にしかできない経験もあります。
納得感なく就職するくらいなら、大学院進学を選択肢として考える方が長期的には良いでしょう。
いずれにしても、大学院に進学すれば、さらに2年間(もしくはそれ以上)座学や研究活動をする必要があります。
それゆえ、「周りは進んでるし自分も。。。」といった軽い考えて進んでしまうと、いざ進路を考える時期になったときに困ってしまう可能性があります。
本当に自分に合った進路を見つけるためにも、しっかりとした考えのもとで進学するかを決めましょう!
さて、ここまでは「大学院に行くかを迷ってる方」向けの内容でしたが、次は「大学院に行きたいという気持ちがある方」に知っておいてほしいことをお伝えします!
大学院に行く人に知っておいて欲しいこと
院試は意外と受からない?
まずは、大学院に行くには必ず必要な「大学院入試(院試)」についてです!
「大学院って、進もうと思えばほぼ確実にいけるでしょ!」と思っている方もいますが、そうとは言えません。
実際には、内部進学者がほとんどの院試でも一定数が落ちています。
例えば、私が所属する薬学研究科・創成薬学専攻の博士前期課程(修士)の入試状況を下記の図で示してあります。もちろん学部ごとに差はありますが、大体1~2割前後が落ちています(詳しくは、ご自身の所属学部のホームページ等を見てみてください)。
また、「過去問だけしておけばいい」と軽い気持ちで受けるのも危険です。予告なく出題者や出題傾向が変わることもあります。
しっかり準備をして挑むようにしましょう!
大学院副専攻プログラム・大学院等高度副プログラム
学部生ではあまり聞く機会はないと思いますが、実は大阪大学大学院には「大学院副専攻プログラム・大学院等高度副プログラム」という教育プログラムが存在します。
このプログラムは、「複眼的・俯瞰的な視点を養う」ことを目的にしています。
異なる専門性・多様な背景を持った教員・学生と、関心のあるテーマについて学ぶことが出来ます。
また、要件を満たすことで、修了認定証も交付されます。令和3年度に関しては、副専攻は18種類、高度副プログラムは42種類が用意されています。メジャーなものとしては「超域イノベーション副専攻プログラム」「公共圏における科学技術政策」「未来の大学教員育成プログラム(FFP)」などがあります。
ちなみに私は、副専攻として「公共圏における科学技術政策」を受けていました。
このプログラムは、「多角的に科学技術と社会の諸問題を理解し、学問と政策・社会の間をつなぐことで政策形成に寄与できる人材の育成」を目的としています(STiPSのホームページ参照)。
本専攻との両立は大変でしたが、その分学びも大きかったです。私は自然科学系の研究室所属でしたが、普段馴染みのない社会科学系の講義に参加できて非常に楽しかったです。
特に印象的だったのは、昨年夏に行われた集中講義で、当時話題になっていた「コロナの専門家会議の在り方」について、3日間かけて議論したことです。
「科学者は政治にどれほど介入できるのか」「その際に権限・責任はどの程度生じるのか」といった事柄についてワークという形で何度もディスカッションを行いました。
明確な答えがないだけに非常に難しい議論でしたが、「専門家と一般人の間をつなぐ重要性」を改めて認識でき、非常に有意義な時間になりました。
上で述べた他にも多種多様なプログラムが用意されていますので、大学院進学予定で気になる方はぜひチェックしてみてくださいね!
理系就職以外も多い?
理系大学院生の進路についても知っておいてほしいことがあります。
大学院生は理系職、特に研究開発職に進む人が多いというイメージがあるかも知れませんが、実際は文系職を含めて色々な進路に進んでいます。
研究で培われる「論理的思考力」や「課題発見能力」などは、文系職・理系職問わずニーズがあります。
そして、理系就活にありがちなのが、「とりあえず研究職を目指す」というパターンです。前半でも触れたように、理系というと学んだ専門知識を活かして働けるイメージがあるのですが、実際には学んだことがそのまま活かせるとはかぎりません。
就職活動の際にも、会社は何を学んだかは意外と重視していません。加えて、研究職は「7人に1人」といわれるほど、なるのが難しい職種です。
理系進路の代表格である製造業(メーカー)でも、研究・開発職以外の職種は色々あります。品質管理や生産・製造技術職がその代表です。
また、専門知識を生かして営業を行うというパターンも考えられます。
そういったことを踏まえて、進路を考える時は研究職以外も含めてなるべく幅広く仕事を見てみることをお勧めします!
大学院進学は多くのメリットがある一方、その人の姿勢次第ではほとんど得られるものがなく卒業することにもなりかねません。
自分なりに『大学院で学ぶ』意味を考えて進学するかやその後の進路を決めましょう!
<参照> STiPSホームページ http://stips.jp/about/