こんにちは。ライターのFishです。今回は、阪大を1年半前に卒業したタトゥーアーティストにお話を聞きました。
歴史的背景もあり、日本ではタトゥーへのタブー視がまだまだ強いですが、だからこそ、どうしてこの職業を選んだのか?気になりますね。
阪大卒タトゥーアーティストの目指すこれからとは?
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今回のインタビュイー
Tomiさん
大阪大学外国語学部外国語学科ペルシア語専攻卒。
♯フリースタイルフットボール ♯タトゥー研究 ♯民俗学 ♯天パー ♯フリミツ ♯stonebridgesquad
タトゥーアーティストをされているとのことですが、どんなことをしていますか?
2021年の夏にフィンランドへの渡航を控えながら、現在は東京で主にタトゥーアーティストとして活動しています。フィンランドでタトゥーアーティストとして活動する予定で、その準備をしているところですね。本当は今年の春には渡航している予定だったのですが、新型コロナウイルスの影響で渡航を延期しました。
この職業には「タトゥーアーティスト」以外にも、「タトゥーアー」とか、「彫師」とかいろんな呼び方があると思いますが、肌に紋様を施す技術を磨き続ける「職人」のような面を持ちながら、タトゥーを入れる人との会話を大切にし1つの作品をつくるという意味で、僕は「タトゥーアーティスト」という言葉が一番しっくりきます。
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タトゥーとの出会いは?
実は、阪大に入ったばかりのころは、頭の片隅にもありませんでした。無関心というか、自分には全く関係ないものとして捉えていたんです。どちらかといえば、いわゆる日本社会のもつ負のイメージを持っていましたが、そのイメージすらも漠然としたものでした。
タトゥーを意識するきっかけになったのが、同じ専攻語の親友だったんです。その親友がアメリカから帰ってきたら腕にタトゥーを入れていて。それが初めて自分の目で見たタトゥーでした。彼のことは信頼してたので、そりゃ驚きましたけど、タトゥーってそんな悪いものじゃないかも。って考えるようになりました。多分、タトゥーが良いものか悪いものかを意識して考え出したのもこの時が初めてだったと思いますね。それからタトゥーいいなって気持ちが少しずつ芽生えてきましたね。
ー親友のタトゥーがきっかけだったんですね。
タトゥーについて考えたときに、“自己表現”とのリンクを感じたんですよね。タトゥーを見た時に、僕自身が自分の人生や現状に満足できていないこと、漠然とした有るべきレールに沿う生き方ではなく、僕の中にあるなにかを人生で表現していたいと思ったことに気がついたんです。
でも、表現することって目立つことじゃないですか。スポーツやじゃんけんも表現の1つだと思うんですが、誰かが負けたり、嫌な思いをする表現活動はしたくなくて。そこで、誰にも迷惑をかけずに、表現できるものとして、タトゥーはかなりいいものなんじゃないかと思ったんですよね。
親友のタトゥーを見てから、タトゥーについて半年くらい考えました。悩みに悩んで大阪のタトゥーショップで自分も足首に初めてのタトゥーを入れました。
ーはじめてのタトゥーはどんなデザインにされたんですか?
アラビア語の「マーシャ・アッラー( مَا شَاءَ ٱللَّٰ)」です。「神様の望みしもの」という意味なのですが、アラビア語圏では、他人のことを褒める時に、褒める側の羨ましい気持ちが「邪念」として生じ、相手を不幸にすると信じられていて、その邪念を避けるために神様の名前を出すんです。神様には邪念がありませんから、神様が褒めていますよ。という意味です。フリースタイルフットボールのサークルに入っていたんですけど、褒められるような足になりたいという想いと、邪念を避けたいという想いでお守りとして初めて入れたタトゥーです。
で、ここで出てくるのが、幼少期からのDIY精神です。タトゥーって高いじゃないですか。自分でもタトゥー入れられるんじゃないかなと思って、タトゥーマシーンを買ったんです。そしてそこからは黙々と自分の足で練習するようになりました。一応、就職も考えていたから、隠せる部分である足にしましたね。それが、3年半前ですね。
タトゥーアーティストへの一歩は親友の一言
そこで出てくるのが、またその親友で、「タトゥーを入れてほしい」って言ってくれたんです。でも、まだ他人に入れる練習もしてないし、人に施術するなんて考えたこともなかったので最初は断りました。
そしたら、「お前に入れてもらうっていうのが重要だから」って親友が言ってくれて感動したというか、嬉しかったんです。結局、親友に入れたタトゥーは、今思うと散々だったんですけど、すごく思い出に残るセッションになりました。この一発目のタトゥーと親友の言葉が「タトゥーを施術すること」以上に大きな意味を持つものを教えてくれました。施術する時間・会話などの空間、そして信頼関係に気づかせてくれて、よりタトゥーに惹かれていきました。
心理ケアとタトゥー
多分、「肌に文様を表現するのが好き。」とか、「タトゥーが好き。」、それだけじゃ今僕はタトゥーアーティストになってないと思うんです。
タトゥーを入れる時間が好きで、その時間に大きな可能性を感じているから、タトゥーアーティストという職業にこだわり続けられるのだと思います。
タトゥーを入れる時に肌に針を刺すのですが、被施術者が緊張していると肌がこわばって針が入らないんですよね。だからこそ、信頼関係を築けなくちゃいけない。そして肌質は人それぞれ個性があります。その個性を大切にして施術しないと上手く行かない。
これは僕が目指していた、「ケアを目的としない心理ケア」とつながっていると思ったんです。心理ケアとタトゥーの接点を見いだしたことが今に繋がっています。
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